みなさんは「下水道」について詳しく知っているでしょうか?
ほとんどの人は、もちろん存在は知っているけど詳しくは…という感じですよね。
トイレから流れていく「アレ」、どこに行くんだろうと思ったことはないでしょうか?
ここで、下水道の仕組みや役割を説明してみましょう。
下水道とは?
私たちが普段何気なく使っている家の水道やトイレは、「下水道」とつながっているのはご存知でしょう。
しかし、その先がどうなっているのかを知っている人はあまりいないのではないでしょうか?
下水道は、都市部の雨水や汚水を「地下水路」等で集め、これを公共用水域に排出する施設や設備の集合体のことをいいます。
雨水は気象学の降水、降り積もった雪が融けた融雪水も含まれますが、地表のものに限定され、河川水・地下水になったものは除かれます。
汚水は、おなじみの水洗式便所から流れてきた屎尿、家庭での調理や洗濯で出る生活排水、ホテル・商店・町工場~大工場のような事業場から出る産業排水等があります。
下水道の役割
下水道の役割としては、主として3つがあります。
内水排除
都市部の雨水を速く流し去って水害を防止します
汚水排除
トイレの屎尿を収集して病原体を消毒し、公衆の衛生を改善します
浄化
汚水の中にある有機物を分解して、公共用水域の水の汚濁を防止します
これらに加えて 最近では
環境保全
より高度な浄化で公共水域の水や環境そのものの保全と改善をする
リサイクル
有機物や無機物を資源化して、物質循環型社会に貢献するという役割
情報経路
光ファイバー網等による「情報ネットワーク」のための社会資本
等の役割も求められ、担い手になりつつあります。
下水道はどのようにできている?
さて、いよいよ下水道の仕組みについてみていきましょう。
各家庭で出された生活排水・汚水や道路の雨水は「下水管」に入ります。
おなじみの道路のマンホールの下には、網目状に下水管が配置されていて、汚水を「下水処理場」まで送り、雨水は河川に送っています。
これには合流式と分流式があり、合流式は汚水・雨水を同じ下水管により下水処理場まで、分流式は汚水と雨水を別々の下水道で運びます。
下水管には下水を流すため、こう配があります。
地面から深くなり過ぎないため、ポンプ場が点在していて、浅い場所にくみ上げています。
そこで非常に汚い汚水がたどり着くのが「下水処理場」です。
ここでは、バクテリアのような微生物が汚れを食べるのを利用して汚い下水を処理しています。
処理した下水は、河川・海等に流されます。
処理場にきた汚水はどのようにきれいになる?
汚水は処理場において、どのようにきれいにされるのかを詳しくみていきましょう。
処理場にたどりついた汚水は、「沈砂池」という池に入って、 中に含まれているゴミ・砂を除かれます。
大きいゴミ・砂がなくなった汚水は、「最初沈殿池」に入ります。 ここ汚水はゆっくりと流れ、 最初の沈砂池で取れなかった小さいゴミ・砂が沈むことで除かれます。
汚水は最初沈殿池から「反応タンク」に入ります。 ここでバクテリア・原生動物といった微生物の集合である「活性汚泥」 が混ざり、空気を吹き込むと、活性汚泥が汚水の汚れを食べ増殖することで水が浄化されていきます。
増殖した活性汚泥は「最終沈殿池」で沈んで取り除かれて、汚水がきれいになります。その後、水の汚れである有機物・窒素・リンを取り除く作業がする場合があります。
最後に上澄み水が消毒されて、 下水処理水となって河川・海に放流されます。
最初沈殿池・最終沈殿池で底に沈んだ「汚泥」は、汚泥処理施設に送られて有効利用されます。
リアルな下水道に入れる!ふれあい下水道館
これまで下水道についてみてきましたが、「百聞は一見にしかず」という言葉もあります。
アクションもののテレビドラマやアニメ、映画などでは下水道に入るシーンがありますが、実際にどうなってるのか知りたいという人はいないでしょうか?
そこで、「リアルな下水道に入れる」という、日本で唯一というテーマパークが東京都の小平市にあります。
「小平市ふれあい下水道館」は、地上2階・地下5階からなる建物で、地下の25mに「ふれあい体験室」として、直径4.5mという下水道管内に直接入り、下水道を生でじかに体験することができます。
また、地下1階にある講座室では、下水道をきれいにしているする微生物を顕微鏡で観察することがができます。
他の階にも、多くの下水道の展示資料・映像などをがあり、下水道を楽しく学べる施設で、カルトスポットとして知る人ぞ知るテーマパークになっています。
注意したいのが、下水管の中の「におい」です。「とんでもなく臭い!」ということらしいので、ちょっとした覚悟がいるかもしれません。
ふれあい下水道館
場所・ 〒187-0022 東京都小平市上水本町1丁目25?31
URL・https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/070/070022.html
バクテリアに感謝
生活排水などを処理場へと運ぶ、下水道についてでした。結局、下水処理場で浄化されて海や川に行くんですね。
浄化の際、ウンチのような固形物は分離され、溶けている分は微生物・バクテリアに食べてもらって分解・回収されるそうです。